マグル界に現れたおかしな妖精
2年生になる前の夏休み、ダーズリー家に戻っていたハリーには奇妙なことがたくさん起きます。
ダーズリー家にバーノンおじさんの大事な商談相手が来るという日、部屋で音を立てずにいないふりをしろと言われていたハリー。
それなのに自分の部屋に入ると、屋敷しもべ妖精のドビーと名乗る、ぼろ布をまとった変な生き物が騒いでいました。
ドビーは「学校に戻ってはなりません。ホグワーツで恐ろしいことが起きようとしています。戻らないと約束してください」とハリーに忠告し、大声で奇声を発したり大きな音をたてたりして騒ぎます。
「お願いだから静かにして、おじさんに殺されちゃう。ホグワーツだけが僕の家なんだ、あそこに戻らないわけにはいかないよ」というハリーに、「戻らないと約束できないならこうするしかありません」と、ドビーは魔法を使ってケーキを宙に飛ばし、来客の頭の上から落とし、姿を消したのです。
もちろんバーノンおじさんはカンカン。ハリーの部屋の窓に杭を打ち、部屋から出られないようにされてしまいました。
ホグワーツに戻る前の日、絶望しているハリーの部屋の窓の外に、一台の車が浮かんでいました。中にはロンとその兄たち。夏中手紙をたくさん送ったのに返事が来なかったから心配してたんだ、と、空飛ぶ車で破壊した窓からハリーは無事に救出されます!
学校に戻れない!
ロンのうちに連れていかれ、ロンのあたたかな大家族に囲まれて学校に戻る前の楽しい一晩を過ごします。
これで一安心、と思ったのもつかの間、翌朝、ロンの両親や兄弟たちが次々とキングスクロス駅のレンガの壁の間を通り抜けていく中、(ホグワーツ特急は9と3/4番線。9番ホームと10番ホームの間の壁を通り抜けていくのは有名ですよね。)ハリーとロンだけが壁で跳ね返されてしまってホームに入れませんでした。
冷酷にも定刻となって汽車は発車。ロンの提案で、再びロンは父親の空飛ぶ車にハリーと乗り込み、空を飛んで汽車を追いかけます。
なんとかホグワーツまでたどり着いたものの、今度はホグワーツの庭の木やら巨大蜘蛛(ハグリッドの飼育していたアラゴグと仲間たち)やらに攻撃されて二人は命からがら校門へたどり着きましたが、危うく退学になるところでした。
何かがおかしい。誰かが学校に戻るのを邪魔している。今年度はすでに初日どころか始まる前から不穏な空気です。
学校でもおかしなことばかり
さらに今年のホグワーツでは、ハリーは他の誰にも聞こえない声が自分にだけ聞こえるようになります。声は「殺してやる。八つ裂きにしてやる」というのですが、聞こえているのは自分だけ。嫌な感じです。
生徒たちが次々に石にされるという事件も起こり、先生方の間でも緊張感が高まっています。
ある日、決闘クラブという、学生同士を魔法の杖を使って闘わせるイベントがありました。先生方の指名でハリーとマルフォイが闘うことに。
そんな中、マルフォイが調子に乗ってハリーの前に蛇を出現させてしまいました。
さすがにやりすぎだ、と、マルフォイ側のスネイプが「ポッター、じっとしていなさい。片づけてやる」とハリーの方に向かってきました。(余談ですが、こういうところ、敵のはずだけど危ないことからは守ってくれるスネイプめちゃくちゃかっこいい。笑)
しかしスネイプが到着するより前に、ハリーは自分を攻撃しようとしてくる蛇に対し、無意識のうちに話しかけていたのです。すると蛇はあろうことか、観客の一人である学生に向き直ります。「そうじゃない」と必死で蛇に話しかけるハリー。
そこへスネイプが到着して蛇を消しますが、「ハリーポッターが蛇語を喋って蛇をけしかけてきた。」と、ハリーは急に悪者にしたてあげられ、孤立してしまいます。
こんなにおかしなことばかりおきるホグワーツ、今年も誰かが何かを企んでいるに違いありません。
マルフォイを疑っているハリーとロンは、ハーマイオニーが煎じた化け薬を飲んでクラッブとゴイルに扮し、スリザリンの談話室に忍び込んでマルフォイに探りを入れることに成功しますが、マルフォイは何も知らないようで手掛かりは得られず。
怪しい日記帳の記憶
そんなある日、ハリーは変な白紙の日記帳を見つけます。記名はトム・リドル。
書いた文字が消えたことに驚いていると、日記帳に文章が浮かび上がってきました。
日記の中の誰かと文章で会話することができると知ったハリー。
ついに「50年前に何があったのですか?」と問うと、ハリーは日記の中に吸い込まれます。
そこは50年前のホグワーツ。
夜のホグワーツ城の階段で、一人の生徒の遺体が運ばれていくところでした。それを見送る青年がいます。
青年は「ホグワーツは閉鎖されてしまうのでしょうか?僕にはここ以外に行くところがないのに」と嘆きます。
その青年が向かったのは、当時まだ学生だったハグリッドのところ。「お前の飼育している怪物が彼女を殺したんだろう!」
ハグリッドはアラゴグという巨大蜘蛛を飼育していました。必死で否定するハグリッドですが、ハグリッドが秘密の部屋を開き、その中で飼育していた蜘蛛が生徒を死なせてしまったとして、退学になってしまいました。
ついに明らかになる真実
50年前に秘密の部屋を開いたのはハグリッドだった!と知り、詳しく話を聞こうと思ったハリーは、アラゴグを訪ねます。
しかし、アラゴグは、「我々は秘密の部屋に住む怪物の話はしないが、秘密の部屋に住む怪物は我々ではない。ハグリッドは秘密の部屋をあけていない。」といいます。
ついにある日、ハーマイオニーが石にされたと知らされ、お見舞いにいったハリーとロンは、ハーマイオニーの持ち物とメモからその真相を知ります。
秘密の部屋に住む怪物の正体はバジリスク。それが城の壁伝いに張り巡らされているパイプの中を移動しながら、「殺してやる」と蛇語で話していたのです。ハリーが学んだこともないのに蛇語がわかる理由は不明ですが(これも7巻で明らかになります。最後に伏線全部回収されるのでぜひ最後まで読んでくださいね😂)、だから城のあちらこちらでハリーにだけそんな声が聞こえていたのです。
バジリスクの目を直接見ると生き物は死んでしまいます。図書館でそれを知ったハーマイオニーは鏡を携帯するようにしており、実際に出くわした時も鏡越しだったので死ぬことはなく、石になっただけで済んだ。
ほかの石になった学生たちも、反射や物越しに目をみただけだったので死なずにすんだのです。
50年前に生きていた人に話を聞かなくてはと思ったハリーは、女子トイレに住む嘆きのマートルに話を聞きます。
実は、その50年前に死んだ生徒こそマートルだったのです。
マートルは言いました。「トイレの個室で考え事をしていたの。そしたら男の声がしたから、誰なの出て行ってって言おうと思って扉をあけたの。そしたらまさにその洗面台のところに何かがいた。目がこっちを見ていて、そして死んだわ。」つまり、秘密の部屋の入口はここの洗面台。
秘密の部屋へ
そのあと、今度は壁に血文字の落書きが発見されました。「秘密の部屋は開かれた。継承者の敵よ…気をつけよ。」
直後にロンの妹ジニーが「秘密の部屋」につれさられたことがわかります。
ハリーとロンはジニーを助けに、迷うことなく嘆きのマートルの住む女子トイレの洗面台から秘密の部屋へと入ります。
そこには横たわったジニーがいて、その横に一人の青年がいました。
ハリーは青年に助けを求めましたがそれは、自分の日記に「記憶」として姿を残した50年前のヴォルデモートでした。トム・リドルとはヴォルデモートのことだったのです。(TOM MARVOLO RIDDLE のアナグラムが I AM LORD VOLDEMORTですって。感動。)
青年のヴォルデモートはバジリスク(大蛇)をあやつり、ハリーを殺そうと攻撃してきます。杖をとりあげられ、無防備になったハリーのもとにどこからかダンブルドア校長の不死鳥フォークスが組み分け帽を持って飛んできます。
フォークスはまず初めに人を殺す力を持つバジリスクの両目をつぶしました。
今度は帽子の中からグリフィンドールの剣があらわれ、ハリーはそれをつかって大蛇と戦います。
ハリーはなんとか剣でバジリスクの頭部を貫いて倒しましたが、その時にバジリスクの毒牙が腕にささります。
毒がまわってじきに死ぬハリーを眺めようと高笑いするヴォルデモートに怒りを込めて、なぜかハリーは自分でも理由がわからないまま、腕から引き抜いた牙を日記帳に突きつけます。
するとヴォルデモートは悲鳴を上げながら消えていきました。
毒牙による傷は不死鳥の涙の作用で癒され、ハリーは無事にジニーをつれて戻りました。
真相
今回の計画を仕込んだのはハリーが敵対するドラコ・マルフォイの父親のルシウスでした。
純血主義でマグル嫌いのルシウスは、再び秘密の部屋が開いてマグル生まれの学生を排除してほしいと願い、ヴォルデモートの日記帳を、夏休み中に本屋ですれ違ったジニーの鞄に忍び込ませていたのでした。
ジニーは、返事をくれる日記帳に、(ハリーに対する)恋の相談を書いており、その相談相手であった青年(ヴォルデモートの記憶)を信頼した末、操られて血文字の落書きをしたり、自ら秘密の部屋を開けて入っていったりしたのでした。
妖精ドビーは、マルフォイ家に勤めていたためにその計画を知り、ハリーに警告に来たのでした。
しかしご主人様に背いてはいけないドビーは、詳細を話すことはできません。
ハリーの命を守るには、ハリーがホグワーツに戻れないようにすればいいと考えて、わざとハリーがおじさんに閉じ込められるようなことをしたり、ホグワーツへの到着を邪魔したりしたのだそうです。
最後にハリーは一計を案じて、ドビーをマルフォイ家から解放してやります。
自由の身となったドビーは自分の意思で、大好きなハリー・ポッターに仕えることにします。
因みに、50年前に秘密の部屋をあけたのはヴォルデモート。すでに純血主義で、バジリスクを使ってマグル生まれだったマートルを殺害しました。
ところが孤児でもあったヴォルデモートは、事件によってホグワーツが閉鎖される危機に瀕していることを知り、それだけは阻止せねばと、巨大な蜘蛛を飼育していたハグリッドを犯人に仕立て上げ、退学にすることで、一件落着と見せかけて閉校を防いだのでした。