おもちゃばこ

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⑥ハリーポッターと謎のプリンス あらすじ・ネタバレ

スネイプの破れぬ誓い

汚い貧民街にあるセブルス・スネイプの家の中で、スネイプはベラトリックスに言われ、その妹のナルシッサ(ドラコ・マルフォイの母親)と、破れぬ誓い(破ると死ぬ)を契り、ダンブルドアを殺すと約束しています。

 

ルシウス・マルフォイが過ちをおかした(予言玉を壊してしまった)ため、ヴォルデモートは見せしめとしてルシウスの子ドラコにダンブルドア殺害という彼にはできないだろう任務を与えたのです。失敗すればマルフォイ一家は皆殺し。

ナルシッサはなんとかして免れたく、ドラコを助けるようスネイプに依頼したのです。

 

もともと闇の人間なのか、正しい人間なのかわからないスネイプでしたが、雲行きが怪しくなってきます。

ハリーたちは年々疑いを強めていきますが、ダンブルドアはなぜか全幅の信頼をおいています。

 

ヴォルデモートの分霊箱の秘密

ハリーは6年生になり、一年間ダンブルドアの個人授業を受けることになります。

ヴォルデモートが復活した今、刻々と近づく決戦のときに備え、先の長くないダンブルドアは、ハリーにヴォルデモートを倒すために多くのことを教えておかなくてはならないというのです。

「ヴォルデモートは死を最も恐れていて、死を避けるために魂を分割している、おそらく7つに。魂を分割するには殺人を犯さなければならない。分けた魂は分霊箱に入れる。

つまり、6つの分霊箱を壊してから彼自身を倒せば彼は死ぬ。逆に、分霊箱を壊さずに彼を殺そうとしても、彼は死ぬことはない。

これまで、分霊箱を探して壊す仕事をダンブルドアがしていたが、今後はハリーにも手伝って欲しい。」と。

 

すでにハリーは無意識に1つ壊していて(2巻秘密の部屋で最後にバジリスクの牙を突き立てて壊したトム・リドル(=ヴォルデモート)の日記のこと。)、ダンブルドアも1つ壊しました(ゴーント家の指輪。トム・リドル自身の叔父の所有物だったが殺害して我が物にしていた。)。

 

ダンブルドアはこの指輪を破壊した際に右手に呪いを受けてしまい、スネイプが魔法で呪いを片手に留めてくれますがそれでもゆっくりと命にも影響するらしく、ダンブルドアはこの先が短いことを知ります。

 

あと4つ、何が分霊箱なのかつきとめ、探して壊すため、二人はヴォルデモートの過去を探るべく古い「記憶」を調べたりと努力します。自分の魂を入れるからには、思い出深い縁の品を選ぶはずだからです。

 

半純血のプリンス

ハリーは、魔法薬学の教科書を学校で借りることになりました。その教科書は昔の卒業生のお古でかなりボロボロでしたが、よく見ると、教科書よりも正しい薬品の作り方や、その人の発明した呪文などが書き込んでありました。

持ち主の名前は「半純血のプリンス」。

一体誰のことなのかハリーは周囲の人に当たりますがわからないまま。謎の持ち主を訝しみながらも、魔法薬学の授業では書き込みに従って薬品を調合しては教授に褒められる、ということを繰り返していました。

 

忍び寄る影

ホグワーツでは、ダンブルドア殺人未遂事件が何度も起こります。

ダンブルドアへのプレゼント」として何者かから預かった物に毒や強烈な魔法が仕掛けられている、という事態。

ダンブルドアの元に届く前に、品物を預かった関係のない人間たちが巻き込まれていきます。

何かが起ころうとしているようです。

 

デスイーターの父親を持つマルフォイもデスイーターになったに違いないと疑うハリーは、マルフォイを怪しんで尾行を続けます。

人気のない廊下で、怪しい会話をするスナイプとマルフォイを見つけますが、なかなか決定的な証拠を得られないまま。

「手伝わせてくれ、君の母上と約束した。」と追いかけてくるスネイプに「これは僕がやらなくてはならないんだ」とイライラした様子で止まることもせず振り切るマルフォイ。追い詰められている様子です。

 

そんな中、ハリーは、ひとり咽び泣くマルフォイを目撃してしまいます。ハリーに気づいたマルフォイと決闘になり、ハリーはついにずっと試してみたかった、半純血のプリンスの本に書き込まれていた魔法「セクタムセンプラ:敵に使う」を試します。すると、マルフォイは身体中が裂けて血を流して倒れたのでした。

 

ハリーたちは知りませんが、この時、「必要の部屋」(これまでも何度か登場しました。ハリーたちがダンブルドア軍団の練習部屋として使っていた部屋です。)の中で、マルフォイが古いキャビネットを修理していました。

 

ヴォルデモートの知られざる過去

ハリーはダンブルドアとの授業で、ヴォルデモートの過去を探りました。

 

純血主義のヴォルデモートですが、本人は半純血。純血の母とマグルの父の間に生まれましたが、母は妊娠中に父に捨てられ、マグルの孤児院でトムを出産すると同時に死んでしまいます。

マグルの孤児院で育ったトムは、生まれながらに持つ魔法の力を思いのままにし、他の孤児たちをいじめたり、物をとりあげたりしていました。

そんなトムが11歳になる年、若きダンブルドアホグワーツへの入学を知らせにきます。

魔法界の存在を知り、晴れてホグワーツ生となったトム。スリザリンに組み分けされると、在学中に既に闇の魔術に興味を持ち始め、分霊箱の作り方を学ぶのでした。

また、両親の情報のなかったトムは自分の家系についても調べ、母が純血の魔法族であったという事実にたどり着きます。半純血でありながら既に純血主義に目覚めて、秘密の部屋を開いてマグル出身の学生を殺したことは2巻で知られている通り。

また、在学中に叔父を殺害し、指輪を奪って分霊箱としていたこともわかります。

 

卒業後、トムはマグルであった父方の名前を捨ててヴォルデモートと名乗り、史上最も恐れられる魔法使いとなるのです。

愛を知らないとはこういうことだったんですね。

 

ヴォルデモートにとって、マグル界から自分を魔法界へと連れ出し、唯一の家となったホグワーツはとっても大きな存在。分霊箱はそんなホグワーツにゆかりのある品と考えられました。

 

分霊箱を探す旅へ

ある日、ダンブルドアはまた分霊箱の1つの場所を突き止めたので一緒に来て欲しいといいます。それはホグワーツの創設者の一人、サラザール・スリザリン縁の品であるロケット。

 

ただし、一緒に行くからにはいかなる場合にもダンブルドアの命令に従うこと。もしもダンブルドアが自分を見捨てて帰れといえばそれに従うこと、と約束させられました。

不安を隠しきれないながらもついていくほかないハリー。

 

なんとか隠し場所へたどり着きましたが、ロケットを手に取るには魔法のかけられた水を飲み干さないといけないよう。

ダンブルドアは、「この水を飲むと私はおかしくなるだろうが、私がなんと言おうとも、必ず最後まで飲ませ続けなさい」とハリーに命じます。

実際に水を飲み始めると、ダンブルドアは途中から泣いて水を拒み出しますが、ハリーは断腸の思いで約束を思い出し、なんとか最後まで水を飲ませ続けてついにロケットを手にします。

 

ダンブルドア殺害

危ない目に遭いながらもなんとかハリーは弱ったダンブルドアと共にホグワーツへ帰還しますが、その瞬間、待ち伏せしていたデスイーターに囲まれてしまいます。

マルフォイが修理していたキャビネットは、もともとツインで、一つのキャビネットに入れば、相方のキャビネットの置いてあるところに行けるというもの。それを使ってホグワーツ内にデスイーターたちが入り込んだというのです。

 

ハリーはダンブルドアの指示通りに透明マントを着ていたので気づかれませんでしたが、デスイーターに周りを固められたマルフォイがダンブルドアに杖を向けます。

マルフォイは武装解除呪文を唱えてダンブルドアの手から杖を吹き飛ばしたものの、手も震え、どうしても死の呪文を唱えられずにいました。

そんなマルフォイにかわってダンブルドアに杖を向けたのはなんとスネイプ。

 

最後に「セブルス、頼む」と言うダンブルドアに、スネイプは冷酷にも躊躇らうこともなくアバダケダブラの呪文を唱えます。

目を疑うハリーの目の前で、ダンブルドアスネイプに殺され、塔の上からそのまま落下していきました。

 

勝ち誇った顔で、城に火を放ちながら走り去っていくデスイーター達。
ハリーは透明マントをかなぐり捨て、逃げるスネイプたちを追いかけます。

「卑怯者!ダンブルドア先生はあんなにお前を信頼していたのに!」とスネイプに罵詈雑言を浴びせ、半純血のプリンス呪文:セクタムセンプラを使ってみますがよけられてしまいます。

 

半純血のプリンスとはスネイプのことだったのです。(スネイプもまた母親が純血の半純血で、母親の旧姓がプリンスという苗字だったそうです。王子という意味ではなかったんですね。)

 

もうホグワーツには戻らない

ダンブルドアと命がけでとってきたスリザリンのロケットの分霊箱は、偽物にすり替えられていました。

ダンブルドアは何のために死んでしまったんだ、とやるせなくなるハリー。

その上、本物をまた探し出さなくてはなりません。


ハリーはダンブルドアの葬儀のあと、もうホグワーツには戻らない(生徒としては)と決心します。

どっちにしろホグワーツはもはや安全な場所ではなく、ダンブルドアがハリーに託した仕事をやり遂げるため、分霊箱を探す旅にでることにします。

一緒に行くよ、というロンとハーマイオニー

 

3人は、あと1年間を残すところで、学生生活とは永遠に別れを告げることになります。

つまり、ホグワーツが主な舞台となるのはこれが最後。

⑤ハリーポッターと不死鳥の騎士団

出廷

夏休み中、ハリーはダーズリー家の近くを歩いているときに、ダドリーと一緒にディメンター(吸魂鬼)に襲われます。

ルーピン先生から学んだ守護呪文で追い払いますが、再び「学校外における未成年の魔法使用禁止」の法律に背いたとして退学通知を受け取り、出廷を命じられます。

 

法廷では、魔法大臣のファッジや役人のドローレス・アンブリッジたちが、「マグルの世界にディメンターが出たなどありえない。ハリーは嘘をついている」と主張。

退学においやられそうになりますが、ダンブルドアが現れ、「魔法省の管理下にあるディメンターがなぜマグル界にいたのか、誰かに仕向けられたとしか思えない」と弁護し、無事にハリーは無罪判決を受けます。

しかし大臣はヴォルデモート復活の話となると、絶対に復活したことを認めようとしません。

ハリーはダンブルドアにお礼を言おうとしますが、いくら呼び掛けてもダンブルドアは振り向きもせず行ってしまいます。

 

コントロールできない怒り

この頃ハリーは、なんだかイライラしていました。額の傷が痛んだり、突然わけもなく怒りが込み上げてきたりするのです。

ヴォルデモートが犯行を行っている現場を、真実のまま夢で見るということも増えてきました。

ヴォルデモートの復活を間違いなく目の前で見たのに、狂言だという人が少なくないばかりか、同じグリフィンドール生にさえそう思われたりもしています。

 

不死鳥の騎士団

新学期直前、ハリーはロンたちと集合するためにシリウスの家にいくと、何やら大人たちが集まって会議をしています。ロンの両親に、ルーピン先生、シリウスまでも。

状況を知りたがるハリーに、「まだ子どもだ」と隠したがるロンの両親に対して、親代わりとなるシリウスは、「ハリーは知るべきだ」と主張します。

ヴォルデモートが復活したいま、状況はどんどん悪くなる一方。いつか必ず訪れる全面対決の日に向かって、大人たちは「不死鳥の騎士団」として戦いに備える必要があるというのです。

 

魔法省がホグワーツへ干渉

新学期にホグワーツに戻ると「闇の魔術に対する防衛術」の教授には、マッド・アイ・ムーディーの後任としてドローレス・アンブリッジが就任していました。

彼女はピンク大好き太っちょおばさんですが、その中身は魔法省から派遣された正真正銘の役人。魔法大臣の臣下で、魔法省の力を武器に権力を振りかざします。

魔法省の役人がホグワーツ来たということは、魔法省がホグワーツに干渉しようとしているということだ、と聡明なハーマイオニーはハリーたちに教えます。

 

今までこの学科では魔法の杖を使って実技を学んでいたのに、アンブリッジは理論だけ勉強させようとします。

「ヴォルデモートが復活したというのに、戦う術を学ばないなんて」とハリーは刃向かいますが、アンブリッジは「あなたたち子供のことなんてだれも襲いません。ヴォルデモートが復活したなんて嘘はやめなさい」とハリーに罰を与えます。

そう、魔法省はヴォルデモートの復活を一貫して認めないのです。復活の様子をハリーしか目撃していないのをいいことに、ハリーの証言を嘘だと言い張ります。

ハーマイオニーは、今のアンブリッジの授業が無意味で、実情を考えれば正しい実技の防衛術を学ぶ必要があると述べ、十数人の生徒を集めてハリーに教わることを提案します。

(ハリーが使える守護呪文は、3年生の時にディメンターに襲われてからルーピン先生の個人授業を受けて習得したもので、かなりレベルの高い魔法。)

皆はそれに賛成し、「ダンブルドア軍団」と名乗って定期的に集まっては自主練習を始めました。

ハリーの初恋の相手、チョウ・チャンも練習に参加しており、クリスマス前の練習終わりには二人だけ部屋に残り、初めてのキスも経験しています🙈

 

不吉な正夢

ある日ハリーはまた夢を見ました。

ロンの父親アーサーが魔法省の中で蛇に襲われているのです。(ハリーはこの時は隠していましたが、夢の中でハリーはその様子を傍観していたのではなく、蛇自身としてアーサーを襲っていました。)

これまでの正夢から、今回も夢で見たことと同じことが現実に起こっているに違いないと思ったハリーは、飛び起きてダンブルドアに伝えました。

アーサーのもとに救助が向かってことなきを得ましたが、やはりハリーの見る不吉な夢は現実に起きていることだったのです。

 

ハリーの謎の夢は、ヴォルデモートとの奇妙な繋がりによるものだと考えられました。

この繋がりにヴォルデモートの方が気がつけば、ハリーに見せたい偽物の夢を見させたり、逆に向こうがハリーを通じて対決に備えた騎士団たちの情報をも見られてしまうことになる、と危惧したダンブルドア

ハリーに、専門家のスネイプから「閉心術」の個人授業を受けさせ、相手が入り込むのを防ぐことを覚えさせようとします。

 

余談ですが、そんな授業の中でスネイプの記憶を覗いたハリーは、尊敬していた父親が学生時代にスネイプを虐めていたことを知ります。だからスネイプはこんなにハリーを嫌っていたと知るのでした。

 

アンブリッジの暴挙

アンブリッジは魔法省の権力を良いことに、自分が気に入らない教師を勝手に解雇したり、好きに校則を作り続け、気に入らない生徒に好きに罰を与えたりして多くの生徒や先生から嫌われます。

 

そんなある日、ダンブルドア軍団のうちの一人が真実薬(真実を全て喋ってしまう)を飲まされて、アンブリッジに秘密の実践練習活動がばれてしまいます。

あろうことかそれはチョウでした。ハリーはこれであっけなく破局。切ない…

 

ダンブルドアは責任を取る形で校長職を辞めさせられ、アンブリッジが代わりに就任します。

 

その日のうちに、ロンの双子の兄たちフレッドとジョージが校内を箒で飛び回り、たくさん花火を撒き散らして、アンブリッジを怒らせて(=他の先生と生徒を喜ばせて)自主退学します。

 

魔法省での決戦

そんな騒ぎの中、ハリーはシリウスが拷問されている夢をみました。

そこは魔法省。たくさんの予言玉(全ての人物に関する予言が込められている水晶のようなもの。しかし、本人しか手に取れないため、他人に関する予言は聞けない。)が置いてある部屋で、正確にどの区画かもハリーは夢から理解しました。

シリウスを助けるためハリーは魔法省に向かい、ダンブルドア軍団も付き添います。

 

ハリーたちは魔法省の予言部門に到着し、夢で見た場所へ急ぎますが、いざその場所についてもシリウスはいません。混乱するハリーたちのまわりには、いつのまにかデスイーターたちが集まってきました。

 

さっきの夢は、ヴォルデモートがハリーを誘き出すために見させた偽物の夢だったのです。恐れていたことがついに現実となってしまいました。

 

ヴォルデモートは「予言」を求めていたのです。ハリーに関する予言はハリーしか手にできないため、なんとしてでもこの場に連れてくる必要があったのでした。

 

ハリーは友人たちを人質に取られて仕方なく予言玉をデスイーターに手渡しますが、玉はその後の戦いで壊れてしまい、誰も聞くことはできませんでした。

 

ハリーたちはデスイーターと必死で戦いますが、明らかに戦局は不利。

途中で現れた不死鳥の騎士団が次々とデスイーターたちを撃退していきますが、戦いの中でシリウスはいとこのベラトリックス・レストレンジ(ヴォルデモートの最強の腹心)に殺されてしまいます。


そしてついにヴォルデモートが姿を現しハリーを攻撃しますが、ここも遅れて現れたダンブルドアの援護を受けて難を逃れます。

 

大臣をはじめ、魔法省の役人たちが現れたところでヴォルデモートは姿を消しますが、最後の一瞬、はっきりと役人たちはその目でヴォルデモートを見て、復活を信じざるを得なくなりました。
ヴォルデモートは逃したものの、ハリーは信用を取り戻しダンブルドアも校長に復職します。

 

ハリーは愛に包まれている

ここ最近ハリーの中に巣食っていた怒りの感情や、わけもなく近しい人たちを攻撃したくなってしまうような感情は、ヴォルデモートの一部がハリーの中にいたからでした。

 

心を支配されて苦しむハリーは、自分を愛してくれる人たちの愛情や友情を思い出します。初めて知った、シリウスとの間の家族愛のようなものも。

ヴォルデモートは知ることのない愛という感情。自分は知っている。

赤ちゃんの時に両親から受けた愛。ロンとハーマイオニーといつも笑っている日々。ハグリッドやダンブルドアや、そんな大人たちが注いでくれる愛。息子のように可愛がってくれたシリウスとの絆…。

それを理解した時、ハリーはやっとこの長く悩まされて続けた負の感情を克服しました。

④ハリーポッターと炎のゴブレット あらすじ・ネタバレ

クィディッチ ワールドカップでの闇の印

ハリーは夏休み、ロンの家族やハーマイオニーと一緒に泊りがけで、今年イギリスで行われるクイディッチワールドカップを観戦しに行きます。

しかしその晩、覆面をかぶったデスイーター(ヴォルデモートの配下たち)があらわれてキャンプ場を焼き払い、空に闇の印が打ちあがりました。


この印はヴォルデモートたちが破壊活動を行ったときにあらわれるもので、ヴォルデモートが姿を消した(死んだという説が多い)13年前以来、一度もあらわれたことがなかったためにヴォルデモートが復活したのではないかと世界的な大混乱を招きます。

 

トライ ウィザード トーナメント

新学期、ルーピン先生の後任として、元闇払い(闇の魔法使いを排除する仕事)のマッド・アイ・ムーディーが就任します。

今学期、ホグワーツでは、三大魔法学校対抗試合(トライ・ウィザード・トーナメント)が100年ぶりに一年間にわたって行われることになりました。

選手は3つの学校から1人ずつ選ばれて、3つの課題をクリアし、その合計得点で競います。危険なミッションも多いので、選手になれるのは17歳以上。

立候補者は炎のゴブレットに名前を書いた紙いれると、最終的にゴブレットが適切な人を選び、名前が書かれた紙を吐き出すもいうシステムです。ゴブレットには魔法がかけられており、17歳未満の者は近づくことさえできません。

 

ゴブレットの怪

選手が発表される時、ゴブレットは各学校の3人の生徒の名前を吐き出しました。ホグワーツからは上級生のセドリック・ディゴリーが選ばれました。

しかし発表後、ゴブレットはもう一枚、ハリーの名前が書かれた紙も出したのです。

ハリーはそもそもゴブレットに名前を入れておらず、年齢も14歳で立候補すらできないはず。到底選ばれるはずがありませんでした。

 

しかしゴブレットの決定は絶対だそう。選ばれてしまった以上、何が起ころうとも辞退はできないのです。ハリーも選手として闘うことになりました。

 

この不気味なできごとをハリーは訝しみますが、他の生徒たちはおろか、親友のロンまでからも、ハリーが目立ちたくてなんとかゴブレットの魔法を欺き自分の名前を入れたのだと反感を買って孤立。

この事件の深刻さをわかってくれたのはハーマイオニーだけでした。

 

トーナメントの課題

課題は、数か月に1回程度の頻度であります。課題に対して事前に情報を与えられたり与えらえられなかったり。選手たちは課題をクリアするために勉強し、対応すべく作戦を練るのです。

学年が若く明らかに不利なハリーですが、まわりの先生や友達に助けられながら進んでいきます。

第1 第2の課題をクリアし、第3の課題になりました。

この課題は森の迷路です。これまでの得点からスタート時間に差をつけ、中の障害物をクリアして迷路の中央に置いてある優勝カップに最初にたどり着いた人が優勝です。

 

人を変えてしまうという恐怖の迷路の中で、次々とライバルたちが脱落してく中、ハリーはついに優勝カップを見つけます。

そこでセドリックと会い、二人は一緒に優勝しようと、同時にカップをさわります。

 

ヴォルデモートの復活

ハリーは気づくと、セドリックと一緒に、ヴォルデモートの父親のお墓の前にいました。
優勝カップは実はポートキー(触ると、予め設定した行き先に瞬間移動できるもの)にすり替えられていたのです。

危険を察知し、すぐに戻ろうというハリーですが、セドリックは、「怖いのか?」と好奇心を見せます。

しかし、その場にいたのは例のピーター・ぺティグリュー。

ヴォルデモートと思われる小さな生き物のような塊を抱いたピーター・ペティグリューは、ヴォルデモートの声に「邪魔者を殺せ」と命令され、セドリックを殺害します。

 

その後、ピーターはハリーの血を使い、儀式を行ってついにヴォルデモートを復活させます。ハリーの目の前でついに生身のヴォルデモートが復活し、次々とデスイーターたちが集まってきます。

 

そしてついにハリーにとどめを刺そうとしてくるヴォルデモート。

ハリーは渾身の力を振り絞って決闘します。(ハリーが相手に使う呪文って必ずエクスペリアームス(相手の杖を飛ばす呪文)だけなんですよね。相手は遠慮なくアバダケダブラ(殺す呪文)ですけれど。)

二人の力の差は明らかですが、2人の呪文がぶつかり合うと、ヴォルデモートの杖から今まで彼に殺された人たちがハリーの守護霊として次々と現れます。

そこには知らないマグルのおじいさんもいれば、ハリーの両親や、今殺されたばかりのセドリックの姿も。

守護霊たちは、少しの間だけ時間を稼ぐことができるから、その間に逃げなさい、と言います。ハリーは両親の守護霊たちの助けをかり、その僅かな時間でセドリックの遺体とともに再びポートキーに触れ、ホグワーツへ帰ります。

 

恐怖企みの終わり

ホグワーツに帰り、ダンブルドアに出来事を話していると、ムーディーが慰めるようにハリーを部屋へつれていきます。

しかし、ムーディーの様子がだんだんおかしくなってきて…闇の印を打ち上げたのも、ゴブレットにハリーの名前を入れたのも、ハリーが優勝するようにしむけ、優勝カップをポートキーにかえたのも自分だと明かします。「あの方は俺を褒めてくださっていたか?」と。

 

肉体を失ったヴォルデモートを復活させるには、ハリーの血が不可欠だったそう。そのためにこの試合というチャンスを活用してハリーをヴォルデモートのもとに送り、復活を手伝ったのだと告白します。

 

最後にムーディーはハリーを殺そうと杖を上げますが、間一髪のところで部屋に侵入してきたダンブルドアたち教授陣に助けられます。

 

実はこのムーディーは、バーティークラウチJrという、魔法大臣の息子でありながらデスイーターに堕ちた男が化けたものでした。

闇払いであった本物のムーディーは、1年間自分のトランクの奥に閉じ込められていました。

自分のせいで目の前で友人が殺害され、さらについにあのヴォルデモートが目の前で復活を遂げるなど、多くのことに衝撃をうけたハリーですが、優勝賞金はフレッドとジョージのいたずらグッズ店開業のために寄付し、またダーズリー家へと帰っていきます。

③ハリーポッターとアズカバンの囚人 あらすじ・ネタバレ

脱獄犯に注意

3年生への進級を目前に控えた夏休み、ハリーは再びダーズリー家で問題を起こしてしまいました。

訪ねてきた親戚のおばさんに両親を侮辱され、怒ったハリーはおばさんを風船のように膨らませて空に飛ばしてしまったのです。(こんな現実世界ではありえない設定まで、ここまで綿密に世界観が練られているとまじめに語れてしまう…😂)

「未成年の学校外での魔法使用禁止」という法律に背いたとして、その場で魔法省から退学を通告され、怒りがおさまらないハリーは荷物をまとめて家を飛び出します。

 

道を歩いていると、黒い大きな犬が茂みからこっちを見ていたような。

もう一度確認しようとしたところに、巨大なナイトバス(夜の騎士バスと訳されています。NightとKnightですね)が到着します。迷子の魔法使いを拾ってくれるバスで、それに乗って漏れ鍋(宿泊もできる魔法使いのたまり場?ホテル的な?)へ。

そこにはロン一家もハーマイオニーもいました。その場で魔法大臣とも面会することになり、魔法を使ったことを咎められるのかと思ったら、「退学なんてしなくていい。それより君が安全で本当によかった。もう出歩かないように」と不思議なくらい優しく謎の扱いを受けます。

この頃巷ではシリウス・ブラックという凶悪犯がアズカバンという魔法使いの牢獄から脱走したというニュースでもちきり。

シリウスはヴォルデモートの弟子で、13年前にハリーの両親の居場所を主君に教えてハリーの両親を死に追いやり、その後友人やマグル13人まで殺したとされる人物でした。

アズカバンと言えば脱獄不可能で知られている魔法使いの収監所。どんな執念を持って逃げ出したのでしょう。

 

新学期が始まる前にハリーはロンのお父さんに呼ばれ、シリウスは、ハリーを殺せばヴォルデモートが復活すると信じているので、ハリーを殺すために脱獄したのだと聞かされます。

だからあんなに魔法大臣もハリーの身を心配していたのですね。「今後何を聞いても、絶対にシリウスを探しに行かないと約束してくれ。」と言われ、「僕を殺そうとしている人をこっちから探すわけないじゃないですか」と不思議そうなハリー。

(ロンの両親も、本当の息子のように愛情を注いでくれますね。ほほえましい。)

 

ディメンターの恐怖

新学期、ホグワーツに戻る汽車に揺られていると、汽車が突然がたんと止まりました。

窓は凍りだし、みんなが何ごとかと思っている中、ハリーのコンパートメントの扉が開き、入ってきたディメンター(吸魂鬼)にハリーは攻撃され気を失います。


危ういところを、同じコンパートメントに乗り合わせた新任教授であるルーピン先生に助けられますが、気を失う前に、自分にだけ聞こえた女性の悲鳴も気になりハリーは楽しい気分になれません。
(ハリーの災難っていつも新学年始まる前の夏休みからスタートしてるんですね💦)

 

どうやら、ディメンターとはアズカバンの看守であり、アズカバンを脱獄したシリウスブラックを追っているそう。囚人はディメンターのキスを受け、魂を吸い取られて絶命するもの。

シリウスが捕まっていない今年度は、防犯のためにディメンターがホグワーツの周りにも配置されるということです。

 

クィディッチの試合中にも、空高く飛行していたハリーが空中でディメンターに攻撃され、箒から落下する事故も起こりました。

本来、囚人の命を奪うために存在するディメンターが、罪もない学生を攻撃するなどあるまじきことで先生方も怒り心頭ですが、そもそもなぜハリーだけがあんなにディメンターに狙われては気を失ってしまうのでしょう。

 

初日にディメンターを退治してくれたルーピン先生のもとを訪ね、教えを請います。

「ハリー、お前が強く影響を受けてしまうのは、お前の過去に誰も経験したことのないような悲しみがあるからだ。

ディメンターは恐怖を餌に幸せを貪る。幸せな思い出を胸に、守護呪文を唱えて追い払うんだ。まだ君の学年ではとてもできないような難しい魔法だ。」

それでもハリーはこの日からルーピン先生の個人レッスンを受け始め、なんとかディメンターを追い払えるようになっていきます。

 

復讐を誓う

ホグワーツでは、3年生になると保護者の許可があれば週末にホグズミート村(世界で唯一の魔法使いしかいない村)へ行くことを許可されています。

もちろんバーノンおじさんに許可をもらえなかったハリーが留守番しているところに、ロンの兄でいたずら好きの双子フレッドとジョージがきて、忍びの地図(ホグワーツ城の秘密の抜け道や人の動きが全てわかる地図)を渡します。

忍びの地図と透明マントを使い、ハリーはホグズミートにでかけることに成功しますが、そこでハリーは、シリウスは学生時代にハリーの父親の大親友であり、ハリーの名付け親ですらあったということを知りました。

親友を裏切って売ったシリウスに対して復讐心を燃やし、ロンの父親との約束を忘れ、絶対に探し出して殺してやると誓うのです。

 

気がかりな占い

ところで、3年生になって新しく始まった授業として、占い学という科目があります。ティーカップに残った紅茶の葉の形から運命を占ったりするのですが、ハリーのカップを見たトレローニー教授は「恐ろしいグリム(死神とされる黒い犬)が取り付いている」といいます。

ハリーは家を飛び出してきた朝に見かけた黒い犬を思い出してドキッとしますが、

教授といい内容といい胡散臭い科目だと、ハーマイオニーをはじめ生徒たちはあまり本気にしていません。

 

しかしある日、ハリーが一人で占い学の教室に入ると、突然別人のようになったトレローニー先生に腕をつかまれます。

先生は聞いたこともないような声で「今宵、闇の帝王(ヴォルデモートのこと)のしもべが再び主君のもとへ馳せ参ずる」と予言します。

次の瞬間に教授は我に帰りましたが、今のことを全く覚えていませんでした。

 

怖くなったハリーは逃げるように教室を後にしますが、予言通り、その夜ついに事件は起こります。

 

シリウスブラックと対面

その夜庭園を歩いていると、突然黒い大きな犬が走ってきてロンにかみつき、そのままロンを大きな木の下の穴の中へ引っ張っていきます。

ハリーとハーマイオニーも後を追って穴に入ると、そこは古い屋敷の中へつながっていました。

そこにいたのは他でもないシリウス・ブラック。黒い犬に化けていたのでした。

しかし、ハリーの命を狙っているはずのシリウスでしたが、ハリーを攻撃してきません。それよりもロンが常に抱いているペットのねずみを渡せと言ってきます。

しかし、ハリーはそんなことよりも、両親を裏切ったシリウスへの怒りでいっぱい。殺してやろうと杖を向けます。

そこへ、ルーピン先生が現れました。よかった、これでシリウスを捕まえてもらえる、と安堵した3人でしたが、あろうことか先生は魔法でハリーの杖を吹き飛ばし、シリウスと抱き合いました。

信頼していたルーピン先生がシリウスとグルだった⁉と唖然とするハリーたちでしたが、ルーピン先生の説明で予想外の真実が明らかになります。

 

13年間の誤解

シリウスが要求していたロンのねずみは、ピーター・ぺティグリューという人間が十三年間化けていたもので、魔法をかけると本当にネズミは汚らしい男に戻りました。

(伏線として、映画の中でもちゃんと、アニメーガス(自分の意思で動物に化ける)と狼人間(意思と関係なく満月の日に狼になってしまう)の違いについて習う授業がありました。)

 

学生時代、ハリーの父親ジェームズとシリウス、ルーピン、ピーターは仲良し4人組でしたが、卒業後、ピーターはヴォルデモートの弟子となってしまいました。

ヴォルデモートは予言で、「この夏に生まれる、闇の帝王に三度あらがった者たちの間に生まれる子供が、将来ヴォルデモートを脅かす。どちらか片方が生きる限り、他方は生きられない。」と聞き、それがハリーのことであると理解して、赤ちゃんのうちにハリーを殺そうと躍起になっていたのでした。(今は余談ですが、実はこの条件に当てはまる人物はもう一人いて、それがハリーと同じ寮のメンバーでもあるネビル・ロングボトムだったのです。)

 

それを知って身を隠していたハリーの一家の居場所を主君のヴォルデモートに教えたのがこのピーター。

つまり、親友を売ってヴォルデモートに手を貸し、多くのマグルを殺害するなどの、シリウスがしたと思われていた悪行の全てはピーターのものでした。

さらに、13年前にマグルを殺害した時からネズミに化け続け、自分自身もシリウスに殺されたふりをしていたのです。

 

実際はシリウスは冤罪で何も悪いことはしていませんでした。

今回の脱獄はピーターへ復讐し、代わりにアズカバンへ突き出すことで自分の無実を証明するためだったのです。

罪なきシリウスは本来ハリーの名付け親(後見人)。これで罪が晴れたら一緒に暮らそうと提案します。

惜しくも長年の夢破れる

ところが6人で城へ戻る途中、満月があらわれます。実は狼男であったルーピン先生はそこで狼になってしまい、どさくさにまぎれてピーターは逃亡します。

 

シリウスを探している大量のディメンターや、狼になって我を忘れているルーピン先生からの攻撃をかわしながら、かろうじてハリーたちは逃げ切ります。

(ちなみに、ここでも居合わせたスネイプ先生が助けようとしてくれます。実際には狼人間相手に力及ばずですが、急に狼になったルーピン先生に対し、咄嗟にハリーたちを自分の後ろに匿って守ろうとします。かっこよすぎる!)

ピーターを見失ったため証拠を失ったシリウスは無罪を証明できなくなり、また逃亡生活を継続することになりました。

ハリーと暮らす夢はお預けとして、シリウスはハリーたちの手を借りてホグワーツからの逃亡に成功します。


ハリーたちが大好きだったルーピン先生は、狼人間であることがばれてしまったため、ダンブルドアに迷惑をかけないために辞職してしまいます。

そこで明らかになることですが、ハリーが手に入れた忍びの地図は、若かりしルーピン先生とシリウス、ジェームズ、ピーターが4人で作ったものでした。

さいころに狼人間に嚙みつかれたことから自らも狼人間となってしまったルーピン先生のために、親友であるシリウスたちは、アニメーガスとして自分たちも動物となり、満月の夜にはともに動物となって過ごしたりしていたのです。ハリーが何度かみかけた黒い犬は、恐怖のグリムなどではなく、脱獄したシリウスが化けて様子を見に来ていたものでした。


学年末、ハリーのところにシリウスから、ハリーがずっと欲しかった最新型の箒が届きます。

安全にシリウスが逃げ延びたこともわかり、安心するハリー達です。

②ハリーポッターと秘密の部屋 あらすじ・ネタバレ

マグル界に現れたおかしな妖精

2年生になる前の夏休み、ダーズリー家に戻っていたハリーには奇妙なことがたくさん起きます。

ダーズリー家にバーノンおじさんの大事な商談相手が来るという日、部屋で音を立てずにいないふりをしろと言われていたハリー。

それなのに自分の部屋に入ると、屋敷しもべ妖精のドビーと名乗る、ぼろ布をまとった変な生き物が騒いでいました。

ドビーは「学校に戻ってはなりません。ホグワーツで恐ろしいことが起きようとしています。戻らないと約束してください」とハリーに忠告し、大声で奇声を発したり大きな音をたてたりして騒ぎます。

「お願いだから静かにして、おじさんに殺されちゃう。ホグワーツだけが僕の家なんだ、あそこに戻らないわけにはいかないよ」というハリーに、「戻らないと約束できないならこうするしかありません」と、ドビーは魔法を使ってケーキを宙に飛ばし、来客の頭の上から落とし、姿を消したのです。

もちろんバーノンおじさんはカンカン。ハリーの部屋の窓に杭を打ち、部屋から出られないようにされてしまいました。

 

ホグワーツに戻る前の日、絶望しているハリーの部屋の窓の外に、一台の車が浮かんでいました。中にはロンとその兄たち。夏中手紙をたくさん送ったのに返事が来なかったから心配してたんだ、と、空飛ぶ車で破壊した窓からハリーは無事に救出されます!

 

学校に戻れない!

ロンのうちに連れていかれ、ロンのあたたかな大家族に囲まれて学校に戻る前の楽しい一晩を過ごします。

これで一安心、と思ったのもつかの間、翌朝、ロンの両親や兄弟たちが次々とキングスクロス駅のレンガの壁の間を通り抜けていく中、(ホグワーツ特急は9と3/4番線。9番ホームと10番ホームの間の壁を通り抜けていくのは有名ですよね。)ハリーとロンだけが壁で跳ね返されてしまってホームに入れませんでした。

 

冷酷にも定刻となって汽車は発車。ロンの提案で、再びロンは父親の空飛ぶ車にハリーと乗り込み、空を飛んで汽車を追いかけます。

なんとかホグワーツまでたどり着いたものの、今度はホグワーツの庭の木やら巨大蜘蛛(ハグリッドの飼育していたアラゴグと仲間たち)やらに攻撃されて二人は命からがら校門へたどり着きましたが、危うく退学になるところでした。

 

何かがおかしい。誰かが学校に戻るのを邪魔している。今年度はすでに初日どころか始まる前から不穏な空気です。

 

学校でもおかしなことばかり

さらに今年のホグワーツでは、ハリーは他の誰にも聞こえない声が自分にだけ聞こえるようになります。声は「殺してやる。八つ裂きにしてやる」というのですが、聞こえているのは自分だけ。嫌な感じです。

生徒たちが次々に石にされるという事件も起こり、先生方の間でも緊張感が高まっています。

 

ある日、決闘クラブという、学生同士を魔法の杖を使って闘わせるイベントがありました。先生方の指名でハリーとマルフォイが闘うことに。

そんな中、マルフォイが調子に乗ってハリーの前に蛇を出現させてしまいました。

さすがにやりすぎだ、と、マルフォイ側のスネイプが「ポッター、じっとしていなさい。片づけてやる」とハリーの方に向かってきました。(余談ですが、こういうところ、敵のはずだけど危ないことからは守ってくれるスネイプめちゃくちゃかっこいい。笑)

しかしスネイプが到着するより前に、ハリーは自分を攻撃しようとしてくる蛇に対し、無意識のうちに話しかけていたのです。すると蛇はあろうことか、観客の一人である学生に向き直ります。「そうじゃない」と必死で蛇に話しかけるハリー。

そこへスネイプが到着して蛇を消しますが、「ハリーポッターが蛇語を喋って蛇をけしかけてきた。」と、ハリーは急に悪者にしたてあげられ、孤立してしまいます。

 

こんなにおかしなことばかりおきるホグワーツ、今年も誰かが何かを企んでいるに違いありません。

マルフォイを疑っているハリーとロンは、ハーマイオニーが煎じた化け薬を飲んでクラッブとゴイルに扮し、スリザリンの談話室に忍び込んでマルフォイに探りを入れることに成功しますが、マルフォイは何も知らないようで手掛かりは得られず。

 

怪しい日記帳の記憶

そんなある日、ハリーは変な白紙の日記帳を見つけます。記名はトム・リドル。

書いた文字が消えたことに驚いていると、日記帳に文章が浮かび上がってきました。

日記の中の誰かと文章で会話することができると知ったハリー。

ついに「50年前に何があったのですか?」と問うと、ハリーは日記の中に吸い込まれます。

 

そこは50年前のホグワーツ

夜のホグワーツ城の階段で、一人の生徒の遺体が運ばれていくところでした。それを見送る青年がいます。

青年は「ホグワーツは閉鎖されてしまうのでしょうか?僕にはここ以外に行くところがないのに」と嘆きます。

その青年が向かったのは、当時まだ学生だったハグリッドのところ。「お前の飼育している怪物が彼女を殺したんだろう!」

ハグリッドはアラゴグという巨大蜘蛛を飼育していました。必死で否定するハグリッドですが、ハグリッドが秘密の部屋を開き、その中で飼育していた蜘蛛が生徒を死なせてしまったとして、退学になってしまいました。

 

ついに明らかになる真実

50年前に秘密の部屋を開いたのはハグリッドだった!と知り、詳しく話を聞こうと思ったハリーは、アラゴグを訪ねます。

しかし、アラゴグは、「我々は秘密の部屋に住む怪物の話はしないが、秘密の部屋に住む怪物は我々ではない。ハグリッドは秘密の部屋をあけていない。」といいます。

 

ついにある日、ハーマイオニーが石にされたと知らされ、お見舞いにいったハリーとロンは、ハーマイオニーの持ち物とメモからその真相を知ります。

秘密の部屋に住む怪物の正体はバジリスク。それが城の壁伝いに張り巡らされているパイプの中を移動しながら、「殺してやる」と蛇語で話していたのです。ハリーが学んだこともないのに蛇語がわかる理由は不明ですが(これも7巻で明らかになります。最後に伏線全部回収されるのでぜひ最後まで読んでくださいね😂)、だから城のあちらこちらでハリーにだけそんな声が聞こえていたのです。

バジリスクの目を直接見ると生き物は死んでしまいます。図書館でそれを知ったハーマイオニーは鏡を携帯するようにしており、実際に出くわした時も鏡越しだったので死ぬことはなく、石になっただけで済んだ。

ほかの石になった学生たちも、反射や物越しに目をみただけだったので死なずにすんだのです。

 

50年前に生きていた人に話を聞かなくてはと思ったハリーは、女子トイレに住む嘆きのマートルに話を聞きます。

実は、その50年前に死んだ生徒こそマートルだったのです。

マートルは言いました。「トイレの個室で考え事をしていたの。そしたら男の声がしたから、誰なの出て行ってって言おうと思って扉をあけたの。そしたらまさにその洗面台のところに何かがいた。目がこっちを見ていて、そして死んだわ。」つまり、秘密の部屋の入口はここの洗面台。

 

秘密の部屋へ

そのあと、今度は壁に血文字の落書きが発見されました。「秘密の部屋は開かれた。継承者の敵よ…気をつけよ。」

直後にロンの妹ジニーが「秘密の部屋」につれさられたことがわかります。

ハリーとロンはジニーを助けに、迷うことなく嘆きのマートルの住む女子トイレの洗面台から秘密の部屋へと入ります。


そこには横たわったジニーがいて、その横に一人の青年がいました。

ハリーは青年に助けを求めましたがそれは、自分の日記に「記憶」として姿を残した50年前のヴォルデモートでした。トム・リドルとはヴォルデモートのことだったのです。(TOM MARVOLO RIDDLE のアナグラムが I AM LORD VOLDEMORTですって。感動。)

青年のヴォルデモートはバジリスク(大蛇)をあやつり、ハリーを殺そうと攻撃してきます。杖をとりあげられ、無防備になったハリーのもとにどこからかダンブルドア校長の不死鳥フォークスが組み分け帽を持って飛んできます。

フォークスはまず初めに人を殺す力を持つバジリスクの両目をつぶしました。

今度は帽子の中からグリフィンドールの剣があらわれ、ハリーはそれをつかって大蛇と戦います。
ハリーはなんとか剣でバジリスクの頭部を貫いて倒しましたが、その時にバジリスクの毒牙が腕にささります。

毒がまわってじきに死ぬハリーを眺めようと高笑いするヴォルデモートに怒りを込めて、なぜかハリーは自分でも理由がわからないまま、腕から引き抜いた牙を日記帳に突きつけます。

するとヴォルデモートは悲鳴を上げながら消えていきました。

毒牙による傷は不死鳥の涙の作用で癒され、ハリーは無事にジニーをつれて戻りました。

 

真相

今回の計画を仕込んだのはハリーが敵対するドラコ・マルフォイの父親のルシウスでした。

純血主義でマグル嫌いのルシウスは、再び秘密の部屋が開いてマグル生まれの学生を排除してほしいと願い、ヴォルデモートの日記帳を、夏休み中に本屋ですれ違ったジニーの鞄に忍び込ませていたのでした。

ジニーは、返事をくれる日記帳に、(ハリーに対する)恋の相談を書いており、その相談相手であった青年(ヴォルデモートの記憶)を信頼した末、操られて血文字の落書きをしたり、自ら秘密の部屋を開けて入っていったりしたのでした。

 

妖精ドビーは、マルフォイ家に勤めていたためにその計画を知り、ハリーに警告に来たのでした。

しかしご主人様に背いてはいけないドビーは、詳細を話すことはできません。

ハリーの命を守るには、ハリーがホグワーツに戻れないようにすればいいと考えて、わざとハリーがおじさんに閉じ込められるようなことをしたり、ホグワーツへの到着を邪魔したりしたのだそうです。


最後にハリーは一計を案じて、ドビーをマルフォイ家から解放してやります。

自由の身となったドビーは自分の意思で、大好きなハリー・ポッターに仕えることにします。

 

因みに、50年前に秘密の部屋をあけたのはヴォルデモート。すでに純血主義で、バジリスクを使ってマグル生まれだったマートルを殺害しました。

ところが孤児でもあったヴォルデモートは、事件によってホグワーツが閉鎖される危機に瀕していることを知り、それだけは阻止せねばと、巨大な蜘蛛を飼育していたハグリッドを犯人に仕立て上げ、退学にすることで、一件落着と見せかけて閉校を防いだのでした。

①ハリーポッターと賢者の石 あらすじ・ネタバレ

はじまり〜寂しい孤児から有名人へ〜

ハリー・ポッターは1歳で両親を失った孤児。ダーズリー家(亡くなった母の姉であるペチュニアおばさんとその夫のバーノンおじさん、ハリーと同い年の一人息子(つまり従兄)のダドリー)に引き取られて暮らしている少年です。体の小さいハリーは、学校では乱暴者のダドリーとその仲間たちからいじめられて過ごす日々。おじさんたちからも大切にされず、階段下の小さな物置部屋で眠っています。

誕生日には大量のプレゼントを買ってもらうダドリーに比べ、誕生日など祝われたこともないハリー。家では家事を任され、親戚が来てもテーブルに着かせてももらえず、完全に虐待されています。

 

そんなハリーの11歳の誕生日、ホグワーツ魔法魔術学校から突然手紙が来て、ハリーは自分が魔法使いであることを知ります。案内人として派遣されてきたホグワーツの森番ハグリッドから、ハリーの亡くなった両親も魔法使いで、ヴォルデモートという史上最強の闇の魔法使いに殺されて亡くなったのだと教えてもらうのでした。

ヴォルデモートは、両親は殺せたもののなぜかハリーを殺そうとした時に失敗し、今は肉体を失って魂となり復活の機会を待っているのだそう。ハリーは奇跡的に殺されることなく生き残ったため、魔法界では有名人だったのです。

 

ホグワーツ生活へ

あの地獄のような生活から救い出され、待ちに待った9月になり、ホグワーツに入学。ホグワーツは4つの寮があり、ハリーは両親と同じグリフィンドールに配属されました。ハリーはグリフィンドールでロンと仲良くなりますが、一方スリザリン寮のマルフォイとは対立します。また、スリザリンの寮監のスネイプ先生は、なぜかハリーのことを嫌いなよう。

(グリフィンドールは勇敢、レイブンクローは聡明、スリザリンは狡猾、ハッフルパフは勤勉(劣等生の寮とも。))

 

そんな中でも、魔法だらけの新しい学校で魔法をかける練習をしたり、親友ができたり、ダーズリー家から離れて新しい生活を楽しんでいました。ハリーの父親の名前を校内の展示で発見して嬉しくなったり。

 

ハロウィーンの事件

そんなある日、ロンが些細なことでハーマイオニーを泣かせてしまいました。その日はハロウィーンでしたが、ハーマイオニーはパーティーにも参加せず、トイレで泣いているそう。ロンたちは気にせず食事にありつきます。

しかしハローウィーンパーティーの最中、「トロール(怪物)が校内にいる!!」と、いつも何かに怯えている気弱なクィレル先生が血相を変えて走ってきました。

全員が避難する中、ハリーとロンは、トロールが女子トイレに向かうのを見かけ、ハーマイオニーが危ないと気づきます。

二人が咄嗟に女子トイレに飛び込むと、まさにトロールがトイレを破壊し、ハーマイオニーが悲鳴をあげて逃げ惑うところでした。二人は覚えたての魔法を駆使してなんとかトロールをやっつけ、ハーマイオニーを助けます。

まさにトロールを倒した瞬間、先生たちが次々と入ってきました。驚いて何事かと問う先生方に、いつもつんとすました優等生のハーマイオニーが嘘をついて罪をかぶり、先生に怒られてくれたのです。

この事件をきっかけに、ハリーとロンはハーマイオニーと仲良くなり、3人で行動するようになりますが、一方でこの一件以降、ホグワーツには何か危険なことがおこりそうな不穏な気配が漂い始めます。

 

怪しい誰かが暗い森の中でユニコーンの血を飲んでいたり、スネイプ先生が血だらけの足を隠していたり、スネイプ先生が人気のないところでクィレル先生を問い詰めていたり…そんな不穏なシーンをハリーたちは事あるごとに目撃し、何かが起ころうとしていると感じます。

 

ハリーがデビューしたクィディッチの試合では、急にハリーの箒が暴走し始め、その後ろでずっと呪文を唱えているスネイプ先生を見つけたり…。どうみても怪しいスネイプ先生。(笑)

スネイプ先生が何かを企んでる!そう結論に至った3人ですが、仲良しの森番ハグリッドに話しても真にうけてもらえず。

 

決行の日。賢者の石を守れ!

クリスマスの朝、ハリーにプレゼントとして透明マントが届きます。誰からかは書いてありませんでしたが、ハリーの父親のものだったと書かれた手紙がついていました。(このマントは7巻まで(厳密には19年後の「ハリーポッターと呪いの子」でも)たくさん活躍します。)

透明マントに隠れて情報を集め、ハグリッドの話やハーマイオニーの読書力を活かし、3人は、「賢者の石(philosopher's stone)」という、不死になる石をヴォルデモートが狙っており、そしてそれが現在ホグワーツに隠してあるということを知ります。

そして隠し場所への入り口もたまたま発見してしまった3人。

ヴォルデモートは肉体がないので、スネイプ先生がかわりに隠し場所へ忍び込み、石を盗んでヴォルデモートに渡すつもりだ、とわかった3人。何としてでも阻止しようと作戦を練ります。

ダンブルドアが留守の夜、決行は今日に違いないと悟った3人は、作戦を練って隠された入り口へと向かいますが、そこはすでに誰かが忍び込んだ後でした。

スネイプに先を越された!と、道を急ぐ3人は力をあわせ、次々と課されるミッションをクリアしてどんどん先へと進んでいきます。

しかし途中のミッションで次々とロンとハーマイオニーが脱落。「この先はハリーが一人で行くんだ」と背中を押されて最後は一人で進んでいくハリーは最後のミッションまでどうにかクリアします。

しかし、ついに最後の場所で対面したのは、スネイプ先生ではなく、あろうことかあの弱気なクィレル先生でした。

そしてクィレル先生がいつも巻いているターバンを外すと…先生の後頭部のあたりにはなんともう一つの顔が。それこそが、ヴォルデモートでした。肉体を失い、部下に寄生することしかできなくなり、クィレル先生の体を借りていたのです。

 

いつのまにかハリーのズボンのポケットの中に賢者の石が入っており、それを知ったクィレル先生がハリーに襲いかかってきます。

その拍子に石が転がり落ち、石を拾おうとするクィレル先生に殺されそうになったハリーは、自分の意思と関係なくなぜか無我夢中で先生の顔に両手を押し付けます。

すると、ハリーは自分でもよくわからない力を発揮し、先生の体はハリーの腫れたところから焦げてなくなってしまうのでした。

 

ハリーを包む愛の力

ダンブルドアは、あの不思議な力は、ハリーの母親が殺されたときに、命をかけてハリーにかけた愛の魔法が彼を守ったのだと教えます。ヴォルデモートは「愛」を知らず、それゆえ理解できないことがたくさんあるのだと。

 

そして、見るからにハリーを嫌っており、いかにも悪役顔、行動も怪しさ満載のスネイプ先生は、今回は悪者ではありませんでした。(初めて映画を見たときは、みんな騙されたのでは?)

クィレル先生を問い詰めていたり足を怪我していたのは、クィレル先生がヴォルデモートの部下で賢者の石を狙っていることにいち早く気づき、阻止するため。

怖そうな顔や、逆に弱くて優しそうな見た目に騙されてはいけませんね😏

 

ハリーの箒が暴走したときに呪文を唱えていたのは、実は、ハリーを殺そうと呪文を唱えていたクィレル先生に対抗して、反対呪文を必死で唱えてハリーを守っていたのでした。

あんなに面と向かってハリーを嫌うスネイプ先生が、悪の人間ではなかっただけでなくハリーを守っていたなんてどういうことでしょう。

この秘密こそが、7巻で明かされるのです。

 

学年末、ちょっと寂しいハリーは最後にハグリッドに抱きつきます。若かりし頃の両親の写真をもらい、夏休みがあければすぐにまたここに戻ってこれる、と、ホグワーツ特急に乗り、ダーズリー家へ帰っていきます。

 

 

ハリーポッターの魅力を解説!

一世を風靡したハリーポッター。名前を知らない人などいないというほどの人気っぷりでした。硬い表紙の分厚い小説が7巻まであって、さらにひとつの巻が2冊にわかれていたりと、子供向けとは思えない恐ろしい量の文章が書かれている小説。映画化されると11年間にわたってほとんどキャストの変更なく演じられ、大人子供を問わず、世界中で大ヒットした作品です。

最近では、19年後のハリーの息子たちのホグワーツ生活を描いた「ハリーポッターと呪いの子」の舞台がついに2022年に日本でも上演されることになりましたね。

 

私も本気で本気でハマった時代がありました。映画を見漁って、小説を片っ端から読み漁って、それを何度も繰り返していました。決して子供向けのおとぎ話ではない、むしろ大人になってからの方が奥深さを理解して楽しめる小説だと思います。

とても良い作品なのでぜひ多くの人に知ってほしいなと思い、おすすめポイントを書こうと思います。

 

①単純にストーリーとして魅力的。

魔法!海外の学園生活!勧善懲悪!

こんなに魅力という魅力を詰め合わせたストーリーもなかなかないでしょう。

「魔法」に惹かれない人間などいません。

マグル(非魔法族)に生まれた少年が、ある日自分が魔法使いだと知らされて、魔法の世界に入っていくのです。(この設定に、どれほど夢を見た少年少女が世界にいたことか!)そこでは魔法学校の1年生として0の状態から魔法を習い、どんどん成長していくその7年間の学校生活を描いた物語です。その点が、単純な異世界ではなく「一人の人間が未知の世界に戸惑いながらも一人前に成長していく様」として描かれ、学園生活を最初から最後まで追体験できるストーリーと相まって、感情移入しやすさもあるのでしょう。

 

②世界観や内容の設定がしっかりしている。

正直映画だけ見たら、ツッコミどころも多いです。(あの膨大な内容を2時間程度にまとめるんだから仕方ない!)でも小説を読むと、どれもなるほど…と納得させられる理由がある。伏線という伏線が7巻にわたってゆっくり必ずどこかで回収されていきます。

話が進んで複雑になってきても矛盾が起きないってすごいなと単純に思うのですが、実は、作者のJ.K.ローリングは、1巻目が映画化される前に、すでに最終巻を書き終わっていたのだそうです。もちろんそれは金庫にしまって誰の目に触れさせることもありませんでしたが、唯一それを読んでもらったのが、スネイプ先生を演じたアラン・リックマンだそう。これを読んで、すべての背景を知ってから1巻でのスネイプ先生を演じてほしかったと話しています。いかにスネイプ先生が複雑な背景を持ち、鍵を握る人物だったかわかりますね。

 

魔法の世界を描くのって難しいと思うんです。「魔法」=「なんでもできる」って誤解しがちだけれど、それじゃあ設定は成り立たない。(ロンのお父さんにも、「マグルはすぐに魔法で楽しようとする」って言われてましたよ!笑)

その辺のルール設定がすごくしっかりしているんですよね。

例えば魔法界にも厳しい法律がある。その元で魔法を使っているから、何でも思い通りにはいきません。それに、一つひとつの魔法を使えるようになるには、勉強や訓練が必要です。だからわざわざ魔法学校に7年間も通って勉強するんです。

杖を振って願いを唱えれば何でも思い通りに!なんて話はありません。杖の振り方とか、呪文のアクセントや発音とかあるみたいです。薬一つだって頑張って勉強してうまく調合しないと作れません。失敗して事故を起こしたりしながら習得していく泥臭さは、わたしたちと同じですね。

 

また、登場人物の背景も良く練られています。「この世の人間は、良い魔法使いかデスイーター(悪)かだけではないんだ。」とシリウスがハリーに諭すシーンがありますが、その通り。悪い人は生まれつき悪いわけではありません。どうしてその道を行くようになったのか、何を正義としているのか。そこに生まれや育ちなどの細かい背景まで設定されていることで、キャラクターへの理解が深まります。

シリーズを通して史上最強でただの悪であるはずのヴォルデモートのことすら、ダンブルドアは「我々の助けの及ばない、同情すべき生き物」であると話します。そんなところまで読者も考察し、理解して同情できるくらい、小説を読んでいると深い背景がわかります。魔法使いの話ということで世界中を虜にしましたが、そんなところがただのフィクションを超え、逆に人間の物語として生々しく描かれていて深く魅力的に感じます。

 

③意外と現実味がある。

魔法界を描いた作品なのに現実味って矛盾していると思われると思いますが、一度しっかり小説を読んでもらえればわかってもらえると思います。

リアルな細かい設定のおかげだと思いますが、魔法が使えるだけであとはこの世界と同じようにできている妙な既視感というか、親近感がわくのです。

そのほかにも、学園生活を見ているうちに、あるあるってくすっと笑ってしまうようなところがたくさんあるのも楽しみポイント。

学年が上がるにつれてレポートに追われ始めたり、選択授業があるけど成績が悪く希望の科目が選べなかったりとか。進路に悩む姿とか。正しい行いは加点、悪い行いは罰則や減点とされて、寮対抗で闘うところもです。口答えしたいけど、寮全体の減点となるから言えない…みたいな。やや横暴ですけど、子どもだからって自由奔放に生きられるわけじゃない、悔しい思いして権力に屈して我慢することだっていっぱいあるんだっていうあの高校生くらいのときの気持ちも思い出されます。

友達の悪口言ってたら聞かれちゃったとか、先生の噂をしてたらその場にいたなんていう誰でも経験ありそうな些細なことから、まじめな話だと、政治家や「大人」の汚さとか、魔法界にも出自による差別があったり。

人間関係だって、思い通りにいかないことがたくさんです。唯一無二の親友であるハリーとロンも何度も仲間割れします。あるよね、どんなに親友にだって不満を持つことだってある、それがある日爆発することも。恋の悩みはもちろん。

あの、生粋の悪として描かれていたマルフォイが、成長するにつれてそんな自分や家族に疑問をもち葛藤する姿も印象的です。

人間臭いですね、彼らも別の生物ではなく、魔法使いである前に人間です。そんなところにも焦点を当てているからすごく良い。

 

④根本は愛の物語。愛と勇気と自己犠牲と。

家族愛、友情、師弟の信頼関係、血縁関係もない人たちとの家族のような絆…。そんなものもたくさん描かれている、というか、話の根本は常にそこです。

 

言わずもがななハリー・ハーマイオニー・ロンの固い友情は、もう家族をも超えるほど。ハリーが最後、魔法界の命運を担って学校をやめ、旅に出なくてはならなかった時は、ロンとハーマイオニーもそれぞれ家や学校を離れてハリーについていくことを決めました。ハーマイオニーは旅に出る前、自分の両親に忘却の呪文をかけ、自分の存在を忘れさせました。

 

物語のすべての始まりは、ハリーが1歳の時に、無敵の闇の魔法使いヴォルデモートが何の力もないハリーを前に砕け散ったこと。ヴォルデモートはハリーの謎の力の秘密をの血眼になって探しますが、それはほかでもない、ハリーの母が自らの命を賭してハリーを守った「愛の力」によるものであったり。最強の魔法使いを打ち負かしたのは、どんな闇の魔術も及ばない、愛だったのです。愛を知らずに育ったヴォルデモートには理解できない、想像も及ばないものでした。

 

家族のいないハリーも、ダンブルドアシリウスをはじめ、マクゴナガル先生やルーピン先生など学校の先生たちや、親友ロンの家族、そしてなんだかんだ育ててくれたダーズリー家の親戚や、スネイプ先生からさえも、形は違えど愛を受け、守られて育ちます。そして、その愛をしっかりとハリー自信も受け止め、子どもたちへと繋げていくのです。

 

最後の戦いでは、ホグワーツ城を舞台に、ヴォルデモートたちとハリーたちが全面的に戦いますが、その戦いの中でも多くの仲間たちが命を落としていきます。そんな中で、戦いを終わらせるため、これ以上の犠牲者を出さずヴォルデモートを滅ぼすためには、自分が死ななくてはならないと知ったハリー。世界のため、ハリーはその事実を飲み込み死を受け入れます。

 

自分を犠牲にするって簡単なことではないし、まして命なんてそうそう投げ出せない。もちろんあくまで小説のなかの話ではあるけれど、自分を犠牲にしても良いと思えるほど大切なものがあるって素晴らしいですね。

 

⑤イギリスの建造物や文化、景観を堪能できる。

ホグワーツ城での学校生活は憧れますが、実際のイギリスの学校はあんな感じの建物も多いです。実際に高くそびえたつ塔を頂いた城(修道院?)と見まがうような校舎があったり、芝生の広い校庭があったり。あの教授陣と学生たちが一堂に会する大広間での食事は、Oxford大学の食堂をモデルにしたものであることは有名ですね。

日本では珍しいbording school(寄宿学校)も、イギリスでは普通です。

 

特に最後の方では、舞台を学校の外へ移すので、イギリスの自然や街並みも少し楽しめます。

ところで、ハリーポッターの映画の影響で、イギリスはいつも雪の降る寒いイメージがありますが、実は北部以外はめったに雪は降りません。でもホグワーツ城の雪景色は最高だったな。

 

あの、やり方を知らなければ絶対に流せないトイレ(天井から下がっている紐を引く)とかもイギリスらしくて良いなと思いました。イギリス文化にもっと詳しくなればさらに楽しみが増しそうです。

 

⑥子役たちの成長を11年間にわたって世界が見届けた。

11年間にわたって主要キャストの変更がほとんどなかったのは奇跡的で、ファンにとってはうれしい限りです。世界中が、みんな親戚のおじさんおばさんの気持ちで見ていたんではないでしょうか。

物語の中とはいえ、「お前は魔法使いだ」と言われてきょとんとしていたあの11歳の美少年ハリーが成長し、背が伸びて顔が変わり、声も低くなり、どんどんたくましくなっていく姿を見るのは何とも言えない感慨深さもあります。何せ、ハリーの初恋も初キスも知っていますから。(笑)

最後は魔法省に就職するし、結婚するし、子宝に恵まれるし、よかったね。(笑)

 

ほかにも、もともと可愛かったけれど想像以上の絶世の美女へと成長したハーマイオニー役のエマ・ワトソン。役どころだけでなく、女優本人も非常に優秀で、まさにハリーポッターの撮影と並行しながら学業も修め、アメリカのブラウン大学を卒業しています。

顔も特に変わらずムードメーカーな3枚目役のまま成長したロン役のルパート・グリントは、最近現実世界でも結婚と子供ができたことを発表しました。

同じ寮のメンバーであるネビルは、素直で勇気もある子ですが、入学初日から危なっかしくて、なんだかどんくさい。でも、7年間でたくましく成長し、最後にはハリーのいない戦いの中で指揮をとり、ヴォルデモートを滅ぼすための最後の重要な任務を遂行します。

血筋・財力・権力すべてを欲しいままにしているマルフォイ家の一人息子ドラコも、1年生の時は典型的な嫌味なお坊ちゃんとして自信たっぷりの金髪オールバックで登場しましたが、いつのまにか自分と家族が世界を脅かす「悪」の幹部であることや、自らの命の保証の代償として自分が恐ろしい任務を遂行しなくてはならないという事実に、葛藤し、一人涙するシーンも見られます。

 

やっぱり、いくらつながったストーリーでも、映画化されるときにキャストがころころ変わるようでは物語の一貫性も感じられなくなってしまうので、同一キャストの起用は重要ですね。

 

 

 

この良さと、吸い込まれるようなリアルで魅力的な世界観、わかってもらえるでしょうか??